ギラ・シヴィルスキー

2002.4.10

 友人たちへ、

 私は今ちょうど2週間の外出からイスラエルへ戻りましたが、自分が見聞きしたことを全体の脈絡の中で見通してまとめあげるのに更に2日かかりました。それを今あ なたがたと分かち合いたいと思います。

 まず第一に、私たちの前に繰り広げられた人を圧するような光景は、パレスチナの諸都市においてイスラエル軍がしでかした死と破壊の光景です。とりわけてもジェニンのそれは筆舌に尽くし難いものです。数百人が殺され数千人が負傷したのに加えて、イスラエル軍が救急車を阻止し死傷者の搬出を妨害したこと、大量に家屋をブル ドーザーで破壊したこと(ときには家族がまだ中にいるもとで)、1週間以上にわたって水と電気と電話を遮断したこと、その反駁の余地のない証拠があります。自分の周囲で男たち、女たち、子供たちが血を流して死んでいこうとする時に、全く水も ないという状況を、あなたがたは想像することができるでしょうか? そして、死体を数日のあいだ家に置いたのち近くの空き地にそれを埋めねばならないという状況を?

 これらの事態は、現在進行中の残虐行為、大量逮捕、破壊的蛮行、窃盗、屈辱を与 える行為などをはるかに越えて進行しています。ある将校の言明が今日の「ハ・ア レッツ」紙に引用されました。「我々がそこでおこなったことの映像を世界が見る時、それは我々に巨大なダメージを引き起こすだろう。」と。メディアが接近するこ とを許されていないのも不思議ではありません。昨夜おこなわれた人権団体ベッツェレムの緊急委員会合での現場からの報告に耳を傾けると、涙したのは私だけではないことがわかりました。

 今は分析をしている暇はありません。私には言うべきことが多くあるのですが。たとえば、ペレスの共犯について。イスラエルに対する正当な怒りによって国際的に解 き放たれたゾッとするような反セム族主義について。イスラエルにおける恐ろしいテロリズムとアメリカにおけるいわゆる「テロとの戦争」が、現在起こりつつあることにいかに許可証をあたえたかについて。等々。ブッシュ=チェイニー=ライス=シャロン=モファズを並べれば、暴力がいっそうの暴力の原因となる処方箋は完ぺきです。今日のジェニンでの13人のイスラエル兵士の死は、イスラエルの軍事力の悲劇的な無益さということを痛感させるばかりです。

 分析するよりはむしろ、今は行動する時です。ここイスラエルでは、平和運動と人権運動は、考えうる限りのありとあらゆる戦線で疲れを知らずに活動しています。占領地での軍務を拒否している将兵たちは収監されていきます。緊急に集められた食糧 と医薬品の輸送物資は配達・配送され、更に集められています。人権活動家たちは、命がけで監視行動に取り組んでいます。平和活動家は、軍検問所で対峙して、催涙ガスその他をあびせられても勇敢に立ち向かっています。外国の活動家たちは、占領地全域で人間の盾として活動しています。私の活動歴の中で、これに匹敵するような緊急事態を思い出すことができません。ここにおいては、あることの原因を徹底追求するということのために、生命も日々のパンも脇へ押しやられつつあります。私はまた、私たちイスラエル人自身が創り出した大災厄が眼前で展開されつつあるということを感じ、それに匹敵するような感覚を思い起こすことができません。

 私は、あなたがたに、あなたがた自身の行動をとるように懇請します。関係諸官庁に(いくつかの宛て先は下に示されています)働きかけて下さい。もしあなたがユダヤ人であれば、それを必ず強調して下さい。次のことを主張して下さい。
1)この恐ろしい暴力を終わらせるために、国際監視団が現地に直ちに派遣されなければならないこと。2)紛争の根本原因はイスラエルによるこの地の占領であること。占領を終わらせねばならないこと。

 どんなことでも、あなたがたにできることはすべて価値あることです。

 最後に、私は、イスラエルは今日ホロコースト記念日を印したということを書き留めないではいられません。私たちがこのトラウマからついに自らを解放し、その真の教訓、toleranceという教訓を肝に銘じることができるのは、いつになるのでしょうか?

Shalom(ヘブライ語の平和)/Salaam(アラビア語の平和)
エルサレムより
ギラ・シヴィルスキー(「黒衣の女性たち」の創設者の一人)