香山 浩三

 何でそんなことになったのかというと、ある日突然浮かんできたメッセ−ジが伝えてきたんだ。お前は新しい様式のシャ−マンであるという御告げが、頭の中に浮かんだからだ。誰もそのことを証明出来ないだろうけど、何となくその日から自分がシャ−マンだと思い込んでいる。何故そのようなことを信じるに至ったか、そのことをこれから述べていこう。

 僕はごく平凡な育ち方をし、当たり前の人生を送ってきた。普通の生きかたをして、当たり前の考え方をして今日まで暮らしてきた。唯一の自慢と云えば、他の人より若く見られることと体力があることでしかない。髪の毛はふさふさしているし、白髪も少なくて実際の年齢より少なく見られる。それだけの違いしかないのに、僕には他の人とは変わっている何かがあった。それはやたらに感受性が敏感で、ど−ってことのない出来事に過敏に反応することだ。
 科学的に考えることは得意ではないが、直観で物事を判断する時のほうが何事もうまくいく。やたらと複雑で細かい作業を要求する科学的手法を信じるより、大雑把でアバウトな占いとか奇跡を信じることもある。合理的で説明が出来ることには興味はなくて、誰もが判らなくて避けようとすることにこそ興味があった。好奇心が旺盛なんだけどいつも主流から外れているというか、あえて体制的な常識を越えた視点で世の中を見ていた気がする。

 未来の社会というか世界を想像したり、人間は宇宙にとっての何なのかという考えが、お金の心配がなく生きていきたいと思う気持ちと同じ位に強かった。お金が欲しいと考えていたわけではなく、お金に煩わされたくないと思っていた。人に使われたり、自分で仕事をするのでも他人とコミュニケ−ションが必要な仕事は苦痛でしかなかった。要するに会いたくない人と合うのは嫌で、本当のことを話せる人と会いたかった。わがままと言えばそのとおりなんで、誰もがそんな考え方を怠け者の哲学くらいに思っていた。
 そんな僕の考え方を具体的に説明すると、科学的な文明社会とは未完成でいたずらに大袈裟なテクノロジ−文化で、未だに発展途上国のネイティブな人々の真理を知るノウハウさえ身につけていないということだ。科学的で合理的な態度で考えると、本当に知りたいことは永遠に理解できないことをあらゆる人に知らせたかった。頭脳を信じてばかりいると身体全体のメカニズムが分からなくなり、人間のことばかり考えていると周囲の自然環境が意味のない飾りになってしまう。

 宇宙と地球と人間との関係が、「YOU AND NIGHT AND MUSIC」のような息苦しくない状況に落ちつくこと。国とか、民族とか、人種を越えた世界観がある、そう思っていた。「ガイア」という呼び名で地球を考えるとき、あらゆる物質や生命という全てそのまま受け入れる必要がある。生命があろうが無かろうが、この宇宙の全てを考えて生きる必要がある。