自分がこの世の中で何をしているのか、生きる意味を理解しながら生きているのか、生まれてきた目的を忘れてはいないか。我々の本来の姿を映す鏡は何処にあるのか。この人生の意味とは何なのか、無性に魂が騒ぐときがある。
時代もまた世の中がどうなっているのかを、歴史はどこまで続くのかを知りたいときがある。そのようなときには神話を蘇らせ、内なる宇宙に疑問を投げかけるのだ。
神話は宇宙に魂を飛ばしながら、我々がこの惑星に至った瞬間を再現してくれる、不思議で刺激的な物語を与えてくれる。
神話を語るシャ−マン達も、世界に向かってメッセ−ジを投げかけるミュ−ジシャン達も、創造に係わる者ならだれでも魂の物語を知っている。魂の物語は心と身体に刻まれて祖先から受け継いだ、宇宙と自然と人間のハ−モニ−を奏でるプレリュ−ドとなる。これから始まる本当の物語の開始を知らせ、やがては地球上の存在が本当の物語の主人公となっていく。

神話は過去の話というよりは、未来を指し示す道しるべである。人間がたどるべき方向を示す、マイルスト−ンの様なものだ。それには人間の歴史と宇宙のなかに生まれてきた意味が述べられている。その神話の世界では神々の領域であったことが、現在では人間の世界にも起きている時代になった。と同時に神話のなかで予言されていたことも、そろそろ現実的な問題になってきた。
現代は科学的ハイテクマシ−ン文化とも言うべき、人間が脳のなかで想像したモノすなわち機械、とりわけコンピュ−タに制御された社会になった。すべての都合はコンピュ−タの性能次第で決まり、科学が無視しているジャンルも当然と排除する。死んだ先の世界や生前のことなども当然排除されている。
ところが人間が最も知りたいジャンルは其処にあるので、欲求不満になった意識は禁じられた領域に接近する。神話を通じて古代人の知性と出会い、シャ−マニズムの宇宙観に新鮮な驚きを覚えたりもする。神話とかシャ−マニズムの不思議な世界にハイテク時代が見えることで、未来と過去と現在の境界が消えることに我々の行き先には神話の世界が待ち受けている可能性があり、ハイテクマシ−ンという魔法を使って古代に戻ることもできる。仮想現実の究極のソフトウエア−には神話が最もふさわしい。