竹岡 雅史

 エネルギ−源を確保し、将来的には産油国を目指す。

 地下資源が枯渇すると叫ばれている時代、よりによって産油国を目指すとは馬鹿げていると笑われる覚悟です。ただここで提言するエネルギ−源は、植物性の輪作可能な燃料のことです。具体的にはテンプラやフライを揚げおえた廃油とか、大豆・菜種・コ−ン・米などの穀物オイルを利用するプランがあります。現実にはマクドナルドの配送車や、東京自由が丘の商店街を巡回する送迎バスなどが、植物性の廃油を燃料に利用して走っています。その植物性廃油の正式な名称はBDF(バイオ・ディ−ゼル・フュ−エル)とかVDF(ベジタブル・ディ−ゼル・フュ−エル)呼ばれ、全くノ−マルで普通のディ−ゼル・エンジン車のオ−ナ−に使われている。主として東京の墨田区を中心に普及し、染谷商店という廃食油リサイクル会社の募集した会員、約300名の人々が日常的に使用している
そうです。
 廃食油は年間で40万トン(日本国内)も家庭や飲食店から出て、肥料や石鹸に利用されても半分はゴミとして捨てられています。詳しい資料をコピ−してあるので、参考に読んでみて下さい。でもリサイクルの話は東京に任せておいて、ここでは北海道でこそ可能な話をしましょう。つまり産油国として世界中に名を広めるにはどうするかという。
 廃食油を利用するには生産量として限界があり、農作物を食品として考えることで新しい発想が生まれてきます。ス−パ・マ−ケットに並べて主婦に買ってもらう必要はなく、燃料としての油性分を品種改良で高める。新鮮度も画一的な形態にこだわらず、保存に神経を煩わすことなく自然のサイクルで作付けする。毎年とれるものだから資源の枯渇を心配することはなく、化石燃料のように地下に眠っていた燃焼ガスを空中にばらまくこともない。植物が炭酸同化作用によって空気中から取り入れた二酸化炭素や、地表面から獲得した窒素・燐・カリウムを再び解放するだけ。何よりそのコトは北海道以外の本州・沖縄・四国・九州では不可能だということ。
 広大で機械化農業が大規模な大地の北海道で可能な話です。真剣に北海道がそのような産油農産物を作ると、世界的にも大規模な産地になるでしょう。アメリカとか中国とか南米に比べるとちっぽけですが、耕作面積あたりの収穫量を高めていくことで解決する。 アメリカの場合は近い将来地下水の枯渇によって、大規模農業を継続することが不可能になる危険があります。中国も南米も北海道に比べると、土の栄養価がかなり低くなっています。なによりも循環可能な植物性の燃料を考えているところはなく、品種改良とか高度技術の開発と特許を先んじて研究できるメリットもあります。ようするに意識を変えて北海道の可能性を探る、そのためのシュミレ−ションの一環として考えてください。現在の科学的な技術力を駆使することで、化石燃料を地下から掘り出す必要がなくなり、そのことによってエネルギ−資源の枯渇も心配が要らなくなる。その努力を試みることを我々が始めるのです。
 北海道には二輪車も含めた自動車は約350万台が登録されており、日本中では7400万台が所有されている。約二十分の一の自動車を北海道は保有し、五分の一の土地面積を確保しながら、植物燃料を生産することは可能だ。車を走らせる程度の燃料は確保でき化学産業の生産能力を維持するには成分が足りない。運輸能力は何とかなるが、プラスティックとかナイロンを作ることは出来ないという事実も考えなければいけない。代替えできる製品を考え、それ以上の価値を有する何かをつくり出す必要がある。例えば木材を伐採して加工する製紙産業を、北海道の至る所に生えている大麻繊維を利用することで賄うとか、プラスティックの代替え商品を澱粉にするという発想の転換が求められるだろう。
(化石燃料が重要な化学製品の材料になるなら、自動車の燃料として植物もそのような方法を考える必要がある。ジャガイモにイカのゴロを混ぜて乳酸発酵をさせると、自然分解が可能なプラスティックの代用品が出来る等)次に面白いのは風力発電で、摩擦抵抗を限りなく小さくする技術を開発すると、風の力を最大限に利用出来る効率のよい発電システムが考えられる。風車の回転を受ける軸受けにリニアモ−タ−の考え方を応用し、磁石の反発力を利用したベアリングレスの動力伝達装置を考えた人達もいる。彼らはア−ティストが作るモニュメントを動かす方法として、微風でも回転できる展示物を制作したのだが、遂にはうちわで仰ぐだけでくるくる廻る風車を作ってしまった。風力発電を考えたわけではないが、偶然とはいえ彼らの考えた芸術的なモニュメントは、風の力を抵抗無く利用できる可能性を示している。