竹岡 雅史

「バンコクはカオスな都会だった」  2月19月曜日
 旅先では目が覚めるのが早く、六時頃から窓の外を覗いたりバスル−ムを点検していると、煩いから落ちつきなさいと注意された。それでも七時には小島君を起こして、ホテル専属のシロタクで市内に向かった。450バ−ツは日本円にすれば1350円だけど、タイではかなり高額だと思われる。タクシ−料金として適切だったのだろうか。
 バイヨ−ク・スイ−トというホテルが高級で格安と専門誌に書いてあったので、早速そのホテルに行ったんだけど倍以上も掛かるという。どうやら旅行社を通じて予約しないとだめらしい。それなら近くの旅行社へということになり、地図を片手に頼り無く探しに街をさまよう。
 グエ−ッと蒸し暑くて汗が吹き出すが、荷物を担いでえっちらおっちら何とか探し当てた。八時頃なので店を開けたばかりなのだろう、その日最初のお客さんということもあって親切だった。とにかくホテルを探している事情を話し、快適で安全で更に格安のがないかと聞いてみた。アッサリとあるあるという答えだ。念のためにパンフレットを見せてもらうと、なかなか瀟洒で豪華ではないか。値段は1350バ−ツというから4000円ちょっとで、プ−ルも朝飯も付いて二人分だという。(ちなみに一人分でも同じ値段なので小島君には不利だ)
 場所はどこかと尋ねると、あそこだと指を差す方向にホテルがすっくと立っていた。ホテルを決めたついでにアユタヤ・クル−ズと、チェンマイのホテルとかエレファントツア−も頼んでしまう。腹も減っていたので安くて美味しい店を紹介してもらい、そこで朝飯を食べたら本当に安くて旨かった。トムヤンクン、カオパ(焼き飯)、ヌ−ドルス−プ(ビ−フンの汁麺)に辛い野菜サラダにシンハビ−ル中ビンとミネラルウオ−タ−を頼む。僕が奢ったんだけど、総額で300バ−ツだった。(バ−ツは三円くらい) 「PANG・PANG」という名のレストランから出ると、目指すホテルに向かって路地を歩いていく。かなり汚くて臭いのする路地を10分ほど歩くと、結構立派な外観のパビリオン「D’MA」ホテルに着いた。フロントで部屋を教えてもらう。7階で窓からはバンコク市内と路地裏の佇まいがそれらしく見え、本当に奇麗で豪華といってもよいくらいグ−な部屋だ。バスタブとシャワ−ル−ムが別々で、エアコンは音もなく回っている。(この音もなく回るエアコンはこの部屋限りで、その後は騒音発生装置に変わった)
 ワ−イワイとシャワ−を浴び、正しい南国の服装である短パンTシャツに着替え、勇んでバンコク市内巡りに探検隊は繰り出した。目的地はマ−ブンクロ−で、炎天下を歩くこと約一時間以上で軽く迷子になる。隊長は僕だったから、迷ったことはおくびにも出さないで、平然と地図を見ながら感を働かす。でも暑すぎて感が働かないので、マ−ブンク−に向かっていそうで慣れた感じの観光客の尾行をした。バッチリと目的地に着いたので、誰も迷子になったことに気がつかなかった。めでたし。
 そのマ−ブンクロ−というのは、カオスと格安の超百貨店というかマ−ケットのような建物のことで、タイの東急とくっ付いているモ−ルだった。マジスパの下村さん御推薦。Tシャツ100バ−ツ、CD80バ−ツ、トムヤンクンで始まり食べきれない程の料理群の合計が三人で400バ−ツ。経済的価値観の違いによるカルチャ−・ショックの洗礼を受ける。ア−メン。八階建ての巨大なビルの隅々にまで小さな店が入り込み、見るだけで疲れ果ててしまう経験をした。歩いて戻ってシャワ−を浴び、お腹が苦しいと寝る贅沢。