竹岡 雅史

「ビ−チで読書三昧」
     2月28水曜日
 アジアンリゾ−トを優雅に過ごすににどうするか。本を読んだり音楽を聴いたり、寝そべって居眠りをしたり何もしないでボ−ッとする。いんろんな事があるようで、選択肢はあまりない。もちろん金をかけるならオプションツア−があるけど、それだって朝も早くから船に乗ったりバスで結構長く揺られたりと、気分を壊すものがある。快適優雅を満足させる過ごし方とは何か。
 今日は朝から晩まで読書三昧、そう決めて早い朝食を済ますと、ビ−チにタオルを持ち込んで場所を確保する。長い椅子を確保しておかないと、隣のホテルの客が占領するからだ。このビ−チはヨットクラブだけでなく、他の隣接する二つのホテルと共有している、シェアしるプライベ−トビ−チ。ところが隣り合わせのホテルには、設備が余りそろっていないので、我々のホテルの備品を無断借用するのが多い。そのためにヨットクラブのロゴの入ったタオルを椅子にかけておくのだ。貧乏くさいけど。
 一日中太陽の下でリゾ−トするのはけっこう大変で、終わるころには泣きたくなる程。朝食にはパンを食べ、昼食にはソンタムを食べ、夕食は何を食べるかと考える楽しさが、リゾ−ライフの楽しみなんだろうかと考えた。とすると怠け者の日常こそが贅沢になる。金をタップリと持っている浪人生活みたいなものだ。僕にはこんな日々は退屈でウンザリする。とか思いながらも本を読み、時々は海で泳いでプ−ルでひたすら砂と塩を落とす。 楽しいんだか退屈なんだか知らないけれど、飽きることもなく朝から晩まで太陽の下でノンビリはしてみた。楽しみの夕食は近くのビュ−ポイントという、景色がすこぶる綺麗なレストランでする。やっぱり高めで昨日の屋台のほうが美味しかった。それでもカオパッとヌ−ドルで180バ−ツでおさまるからいい。
 ハンモックを700バ−ツで買ってしまった。残りの小遣いは1000バ−ツに減る。日本を出発するときはマイナス10度以下だったのに、ここでは連日30度以上。その差40度以上の日々を過ごしながら、何となく不可逆的な戻るに戻れないような生活を体験していると、心のどこかで変化するものがある。不思議な気持ちだ。
 暖かくて物価が安く、人間関係に煩わされることがなく、楽にひっそり暮らせる日々がある。その事実を噛みしめていると、たぶんこの生活を楽園と呼ぶのだろうと思える。タイの田舎でそんなことを夢想できるのが、リゾ−トライフなんだろうか。何だか幸せだ。 ここに来て変わったことは心理的なこともあるけど、身体的にも変化が現れた。体重が減って、身が引き締まってきたのだ。これは驚くべき喜ばしきことだ。とにかく毎日が暑くて汗が噴出するので、食べる片っ端からエネルギ−として消費されるのだろう。タイの人に肥満体はあまりいないようだ。食べ物も野菜とか魚が主で、肉の料理は少ないうえライスを主食として食べない。辛味も太らない原因だが、ただやたらと何でにも砂糖をかけるのが気になった。
 ビ−チが夕焼けで真っ赤に染まるころ、バスタオルを片手に部屋に戻ったときには、二人とも本当に真っ赤っかに日に焼けていた。雅子は日陰で涼んでいたはずなのに、反射光なのか水着のあと以外はくっきり赤い。互いに顔を見合わせて吹き出してしまった。
 明日はシュノ−ケリングツア−に出掛ける。アントン国立公園という小さな島々で、パンガン島より有名ではないが透明度は高い場所だ。朝が早いので用意してすぐに寝る体制とし、火照ってひりつく身体を休める。
to be continued