〈アフリカの一日目、JAZZに出会う〉

 先に送ってある、大型ザックを受け取り現地旅行会社の車でホテルに行く。

 ナイロビは雑然とした印象でスラムと近代建築が同居している。街全体が埃っぽい。スーツ姿の黒人ビジネスマンと貧しい人々のコントラストが印象的である。

 ホテル玄関にはマシンガンを持ったガードマンが二人警護していた。やれやれの気分。ホテル.ナイロビサファリクラブは古いが立派な建物である。英国風の格式を感じる。危ないので、なるだけ外出しないように注意があった。多分誰も外出しないと思う、何せ長旅で疲れ切っているのだから。

 同室の人とホテルのバーに行き、ビールを飲む。旨い。
ケニアのビールは思いがけずナイスだった。ラベルに象のイラストでTUSKERと書いてある。疲れが良く取れるようにジョッキで4杯飲む、後味も良好。気に入った。 その後、少し休む。

 レストランで夕食時に、同行の添乗員(ガイド)がエベレスト登頂者であることが判明。

 JAZZの生演奏をしていたが誰も聴いていない。実に質の高いプレイである、黒人の音楽センスに脱帽である。長年のJAZZファンである私には違いが良くわかる。勤務医時代(青山)、六本木のJAZZライブハウスが好きで仕事帰りによく通ったものである。

  それにしても、アフリカでハイレベルなJAZZとは…思いもよらなかった。東京のライブハウスで充分以上に活躍できるレベルと感じた。完全なリズム感に裏付けられた野太く絶妙のアドリブ。凄いSAXプレイヤーである。広いレストランで拍手したのは私だけ、聴いているのも私だけ。脳の中にイイ音のバイブレーションがグーっと染みこんでくる。ああゼータク。

 素晴らしい演奏だ、プレイヤーと一体になった気がする。聴いてる者とプレイヤーが共通体験をしている感覚。そう感覚の世界、感じる心の世界。演奏が終わって、握手を求めた、とてもニコニコして汗ダクの彼は迎えてくれた。

  離れた場所にいたのにもかかわらず、彼は自分の音を評価してくれた人間を分かっていた、彼もまた同じバイブレーションで繋がっていたのだ。非言語のコミュニケーション。これも、一期一会。

アフリカの第一日目の印象はグーである。