〈キリマンジャロへ入山、マンダラハットへ〉

今日から入山だ。マイクロバスでキリマンジャロの登山口へ向かう。

 標高の低い山麓(1500m位)ではコーヒーやバナナを栽培しているが、小規模で管理も行き届いていない様子に見える。コーヒーの花はこぢんまりと小さく白い。実はコーヒーチェリーと言われるぐらいだから赤い粒状で、食すと甘い。種がコーヒーになるのである。

  時折、栽培された巨大な竜舌蘭を見かける。竜舌蘭の花の茎は直径20〜30B程度、長さは3〜5m程もあり、昔よく見た木の電柱の様な感じ。その先端に花を付けるのだ。花の形は、単に大きいだけで日本の園芸店で見る蘭そのものの形である。現地ガイドによると、葉の繊維を利用して丈夫なロ−プが出来るそうだ。

 マラングゲート(1800m)へ。今は曇りだが、この辺ではどうやら雨が降ったらしい、地面が濡れている。下山してくる外人連中は皆、下半身が泥だらけ、嫌な予感。入山手続き、現地登山ガイドとポーターを紹介される。信じられないことに18人という事だ。それに対して登山者7人、日本人ガイド1名にである。おかげで、私は例の大型ザックを背負わなくて良いことになった。サブザックだけ持てば良い、殿様になったようだ。我々日本人登山者7人は、現地人18人と日本人1人に雇用を与えたのだ。

 正午、出発。

 思った通り、密林地帯に延々と泥道が続く。時折、雨が降る。気温は高くないものの、湿度は高く、密林は空気の通りが悪いのでじっとり汗をかく。木々に、時々猿の群を見かける。滑りやすい上り坂で難儀する。ほんとうにドロドロのぬかるみで嫌になる。3時間半程も、泥道を登ると地質が変わり(火山礫)、水はけが良くなってきた。それにつれて植物相も変化が見られる。背丈が3〜4m程度の灌木地帯となる。その分だけ風通しが良くなり人間へのコンディションは良くなった。雨まじりのガス(霧)が出てくる。

 夕方、マンダラハット(2700m)着。Hut は平屋の小屋のことを意味する様です。Hutは大小とりまぜて10棟ぐらいあり、詰め込めばかなりの収容数と思われる。Hut はポーター用とゲスト用に分かれているが、白人用-黒人用では無いので取り立てて差別的な意図のものでは無いようである。Hutの各屋根には太陽光発電(ソーラー発電)パネルが付いて自動車用バッテリーに充電されるようになっている、ドイツのジーメンス社製のようである。それを夜間の照明に利用している。最大で6時間程度使用できるとの事だが、実際には3時間程度でエンプティになった。

 この時、私の持参した一本のローソクが役立ったのです。ローソクが無ければヘッドランプを使わざるを得ず、ここで図らずも電池の消耗を防止できた訳だ。我々の占有した小屋は20人収容可能なのだが、ゼータクにも我々8人(日本人ガイド含む)だけで使った。この時期は登山者が多くないと言う事でしょうか。この夜、ガイドから高山病のレクチャーがあり、この日から毎日2回パルスオキシメーターの測定が記録される。それと、高山病対策としてインド製の利尿剤ダイアモックスの使用がスタート。

  水分を毎日、最低でも4P摂取してたくさん排泄するという方法。医学的根拠は不明である。目標は、朝1,5P 行動中1,5P 夕食時1Pの摂取。飲料水はキリマンジャロと言う名の1,5PPETボトルが3ドル(下では1ドル)也。深夜、外では大雨です、しかし、メンバーはトイレに何度も行くことになったのである。そして人間もまた大雨並の用足しになったのである。部屋は「いびき」「トイレ」「おなら」で始終、絶え間無く、うるさい。おまけに近くで
、動物のうなり声まで聞こえる始末。

 睡眠に満足感が無い。